マーラー 交響曲 第10番 嬰ヘ長調 第5楽章 [D.クック版]

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交響曲第10番は未完に終わったマーラー最後の交響曲です。
全5楽章のうち、演奏可能にまで仕上がったのは第1楽章だけで、
全曲は基本的に4段ないし5段譜表の略式総譜が残されたのみでした。
そのため国際マーラー協会では、第1楽章アダージョしか正式には認めておらず、 第10番が録音、演奏される場合、ほとんどが第1楽章のみになっています。
しかし、残されたスケッチから読み取れる楽想があまりに美しく、またスケッチの大部分が、オーケストレーションを残すのみの段階にあったため、 第二次大戦後、多くの補筆完成の試みがなされてきました。
その代表例が英国の音楽学者デリック・クックによる補筆完成版です。
クックはマーラーの書いた楽譜に、基本的に新たな創作を加えず、パート譜の空白部分などをあえて残したまま、オーケストレーションに取り組みました。
結果、音が薄くなるなど、音楽的には不完全な箇所も生まれましたが、マーラーの意思を最も直接的に示した版として評価され、受容されつつあります。
クック版を基盤にしながら、指揮者が各自の修正を加えることもあります。
交響曲第10番の作曲中、マーラーは妻アルマの不倫に悩まされていました。
「君の好きなようにすればいい。君が決めたまえ。」と平然を装ったマーラーでしたが、アルマとの関係修復を望み、精神科医のフロイトのもとを訪れたり、アルマの気を引こうと彼女の自作歌曲を出版社に持ち込むなどしていました。
第10番には自分から気持ちが離れつつある、アルマへの想いが込められています。
そして第3楽章以降はスコアの至る処に、アルマに向けた言葉が書き込まれています。
マーラーはこの曲のスケッチを「捨ててもいい、だが目を通してくれ」と、アルマに言い残しましたが、結局彼女は形見として手元に保管したのでした。
時は流れて1960年、マーラー生誕100周年を記念してイギリスBBCは、クック版(第1稿)の全曲初演をラジオで放送しました。
許可なきこの行為に対しアルマは、ラジオの再放送や補筆版の上演、出版を差し止めました

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