長野市の長電バスは21日から日曜日の路線バスの運行を休止しました。背景にあるのが深刻化するバスの運転手不足。その現状を取材しました。
■バス運転手不足 深刻に
日曜日のバス停。21日はいつもの光景と違います。バスの時刻表には「日曜日は運休」と表示されています。長野市を中心に路線バスを運行する長電バス。「生活の足」として利用されていますが、21日から11路線で日曜日の運行を取りやめます。バス停では戸惑う人たちの姿も。
路線バスの利用者
「部活でちょっとやばいです。今、必死で電車を探しています。きょうからなんですか?調べなかった自分が悪いけど、日曜日も運行してくれたらうれしいかな」
利用者
「日曜日、運休…。そうなんだ」
長電バスの係員
「申し訳ございません。きょうから日曜日、当面の間、運休となっています。ごめんなさい」
「日曜日、利用する人もゼロではなくいるので、本当にご迷惑を掛けて…」
バス会社の係員が説明に追われるなか、利用者は…。
利用者
「これは不便すぎる」
長電バスの係員
「重々、承知はしているんですけど」
運休の背景にあるのは深刻な「運転手不足」です。
長電バス乗合バス課 小林修さん
「どの業界も乗務員不足。特にバスに関しては免許を取るのもお金がかかるし、不規則、長時間労働、低賃金。負のイメージがあるのでその辺を少しでも変えていければ」
バスの事業者からは「運転手が足りない」と、切実な訴えが相次いでいます。
長電バス 鈴木立彦代表取締役
「長野営業所では必要人員99人に対して74人で、25人ほど不足している」
アルピコ交通長野営業所 植松誠所長
「乗務員の不足は約30人は今、足りないと考えている」
今、路線バスの「減便」や「廃止」が全国で相次いでいます。大阪では「金剛バス」の運行が先月、廃止に。全国で主要な路線バスを運行する127社のうち、実に8割が去年、「減便」や「廃止」にしたほか、今年以降に路線縮小の検討をしています。
■「ハイブリッド乗務」で対応
東京都内を走る路線バス。「運転手不足」から平日を休日ダイヤに変更し、減便しています。深刻な運転手不足対策として、新たに導入しているのが「ハイブリッド乗務」です。
日立自動車交通運行部 岩崎雄資班長
「(Q.ハイブリッド乗務は具体的に何が違う?)こちら、スクールバスと路線バス、2つを交互に乗っていく業務」
「ハイブリッド乗務」では、「路線バス」と「スクールバス」、異なる2つの業務を交互に行うことで、片方だけの時と比べて運転手の働き方が大きく変わります。
日立自動車交通 鈴木祐美係長
「新しい人が集まってくるような働き方改革として何かやることができないかと、当社でスクールバスとコミュニティーバス(路線バス)を結構な規模でやっているので、両方を掛け合わせることでハイブリッド、休みが多く、給料も確保できる業務をしていこうと」
異なる勤務体系を掛け合わせることで、休息が取りやすくなり「長時間労働」の解消につながります。
日立自動車交通 鈴木祐美係長
「コミュニティー(路線)バスは忙しく、休みがちょっと少ない。逆にスクールバスは休みはそこそこあるけど、どうしても給料がついてこない。給料もある程度保障して年間の休暇を120日以上作る」
「ハイブリット乗務」を取り入れている運転手歴10年の岩崎さんは、休暇がひと月で4日ほど増えたといいます。
日立自動車交通運行部 岩崎雄資班長
「スクールバスでは障害を持っている人の輸送を担当しているので、すごくやりがいが寄り添う仕事。(利用者から)感謝されていると聞いた時にはすごく感動した」
新たに運転手が2人入社し、来月からも数名が加わる予定だといいます。
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