ヨーロッパの経済危機の発火点になったギリシャ。深刻な財政危機が表面化してから初めての総選挙が近々行われる。そんな中、注目を集めているのが、“700ユーロ世代”と呼ばれる若者たち。働きたくても仕事がない、働いても月700ユーロ足らずしか稼げないことから、この名がついた。社会保障の手厚さにひきかえ、国民の労働意欲が低いことが財政危機の原因と国際社会から非難されるギリシャだが、EUの共通通貨ユーロ導入後、バブルが起き、膨大な国費が使途不明金となっている。700ユーロ世代は、こうした債務の開示を求めて、連日デモを繰り広げている。若者たちの置かれた状況と、彼らの訴えから、ギリシャ危機の真実を見つめる。
「ヨーロッパの経済危機の発火点になったギリシャ。社会保障の手厚さにひきかえ、国民の労働意欲が低いことが財政危機の原因と国際社会から非難されてきた。しかし、若者の二人に一人は失業、かろうじて職にありついても、月700ユーロ足らずしか稼げない実情があった。彼ら20代~30代の若者たちは700ユーロ世代と呼ばれている。
11年前、EUの共通通貨ユーロ導入を機に、外国から大量の資金が流れこみバブル経済に突入していったギリシャに、多額の債務が発覚したのは3年前のことだ。その債務の多くは、使途不明金。「僕らが返済する借金は、いったい誰が何に使ったものなのか!」700ユーロ世代が、債務の開示を求めて、立ち上がった。債務の実態を追及する若者たちに密着、彼らの訴えから、ギリシャ危機の真実を見つめる。 」
上田氏によると、今回、バブル経済の真実をつきとめようとするギリシアの若者たちには日本の若者と通じるところが少なくないと思われたという。現地取材をしたディレクターは700ユーロ世代と同世代で、いわゆるロストジェネレーションと呼ばれてきた世代だ。
「ギリシアの若者たちが事実が何だったのかつきとめようとするのですが、問題があまりにも大きく、謎が多いのです。相手が大きすぎるという状況です。しかも、ギリシアの場合、破たんするスピードが速く、激しいのです。ですから、ギリシアの多くの若者たちは海外に流出しているのが実情です。一方、国にとどまった若者たちは未来を感じることができないでいます。ギリシアで取材したディレクターも700ユーロ世代と同世代なので、共感するところがあったのでしょう。」